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映画横好き

映画横好き

最新映画やお勧め映画の感想、日々の戯事などのBlogです。映画検定1級取得を目指しつつ毎日鋭意更新中! ネタバレ部分は隠してありますのでご安心を。

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不都合な真実  AN INCONVENIENT TRUTH  2007/02-12(月)
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墨攻  2007/02-09(金)
それでもボクはやってない  2007/02-04(日)
ディパーテッド  THE DEPARTED  2007/02-03(土)
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俺としては例の如く予備知識なしで劇場に突入。まあ環境破壊についての映画らしいって事くらいは知っていたけどただそれだけ。だからアル・ゴアが颯爽とステージに歩み出てきた時は「しまったぁ、アル・ゴアのプロパガンダ・ムービーかよ!?」と心の中で舌打ちしたものだ。 だが本作が彼の宣伝映画という事は確かなのだが、しかしそれ以上にきちんと環境問題や地球温暖化問題について語っていたのでこれはこれで良いだろう。でも恐らくは彼が世界各国でやって来た講義や講演会をそのまま映像化したに過ぎないものなので、内容はもうVTR授業と変わらない作りになっている。ゆえにタイトルは『アル・ゴア先生の環境授業 映画版』とでも付けるべきだ。そうしたら俺のように勘違いして観る人間は減るし、もしかしたら観たがる観客が増えるかもしれない。観たことを後悔している訳ではないが、鑑賞後に「日曜は500円で鑑賞できます」とか書いてあるの見付たり、日テレの『世界一受けたい授業』でアル・ゴア先生が緊急特別授業をやっていたりするとレイトで1200円払った俺がバカみたいでどうも…。だが環境について考えてもらうために鑑賞料を安くするってのは素晴らしい試みだし、ゴールデン枠のTV番組で環境問題について訴えるのは良いことだ。ま、俺の注意力が足りなかったという事かな。
 本作は全米映画批評家協会賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したのをはじめ、様々な映画賞でドキュメンタリー賞を受賞していて評価も高い。まあそんなことはこの際どうでもいいのだが。
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■United Internatinal Pictures 96分
2006年 米
製作総指揮・監督:デイヴィス・グッゲンハイム
主演:アル・ゴア

★★

 序盤のあらすじ
 人類にとって、ただ一つの故郷であり生きる場所である地球。その地球が今、最大に危機に瀕している。世界各地で人々を襲う異常気象の数々、津波、超巨大ハリケーン、水位上昇etc。これら全ての原因は二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることで地球の気温が上がる“地球温暖化現象”によるものだと考えられる。このまま異常気象が続けばいずれ生態系までもが狂ってしまい、植物や動物、そして人類は危機的な状況に陥ってしまうだろう。
 こうした地球温暖化に早くから注視していた元米副大統領のアル・ゴア。彼は環境問題について30年以上に渡って調査と研究を続けてきた結果をスライドやVTRにまとめて世界中で開催してきた。そして今度はこの映画で人々の意識改革に乗り出していく…。

 感想
も何も本作はアル・ゴアが環境破壊と地球温暖化について警鐘を鳴らす授業ってだけなので、作品的には特に述べることもない。ただまあ授業としてはとても解りやすくて良かったし、内容もそこそこ面白かったかな、と。彼の言っていた「今はジワジワと熱せられているから実感が湧いてないが、数十年前からいきなり現代の暑さに放り込まれたら事の異常さと重大さに誰もが気付く筈だ」という節には思わず納得。人間はゆっくりとした変化には体が慣れてしまう、そこが怖いところなのだと。確かにその通りだ。講義慣れしてるなあゴア先生。
 どうでもいいがゴア先生は本作でも日テレでも登場の際には「どうも、一瞬だけ大統領になったアル・ゴアです」と言っていたが、あれが彼必殺の掴み技なんだろうか?微妙に笑いづらいと思うんだが欧米的には笑い飛ばすべき所らしい。大らかだな(^^)。

 映画の殆どの時間はゴア先生が現在の地球環境について熱弁を奮っているだけ。だから「なんだ普通のドキュメンタリーじゃん」と思うのだが、やはり合間合間にチョコチョコッと「今はこんなヤバい環境だけど、俺に投票すりゃあ大丈夫だぜ」みたいな言葉を挟んでくるのが余計というか仕方がないというか勿体無いというか。自己主張しちゃう気持ちは分からんでもないがね。まぁ日本在住の俺には関係ないし、それにアルは今回の大統領戦には出馬しない予定だよなぁ、確か。
 またタイトルの『不都合な真実』とは地球温暖化問題やこの映画の事だろう。先進国でありながら京都議定書の受け入れを拒否した大国アメリカ合衆国。その政治家の中にはいまだに環境問題を楽観視または軽視している者も少なくない。そんな国や政治化にとっては、猛烈な勢いで拡大していく環境破壊の事実は、確かに“不都合な真実”でしかないだろうな。 

 内容的には俺たち一般人が思っていた以上に、そして研究者たちが推し量っていた以上にハイペースで地球の温暖化が加速しており、それにより環境が激変している事が、映像を通して恐ろしい程によく分かったのでとても勉強になった。もちろん俺も地球が温暖化しているって事は知っているし多少は実感もしている。近年は紅葉は12月に近いし、今年は超暖冬だし、さっきのNEWSでは「今週中にも春一番が吹くかも」なんてとんでもないことを言っていたし。今まだ2月だぞ!?だがそんな変化は小さな事だと言わんばかりに世界の気候は急変していた。まさかキリマンジャロやヒマラヤにもう殆ど雪が無かったり、南極の棚氷がたった一月で溶解していたりとかは思ってもいなかったよ。全然知らなかった数々の事実を見せつけられて正直かなり驚かされた。しかもそれが全部俺たちのせいだってんだから、なんとか努力して事態を改善しなくてはいけないという事だ!

 まあ個人レベルだと、資材はなるべくリサイクルするとかハイブリッド製品を使うとか光熱費削減とかなるべく電車で移動するとか、小さな事しか出来ない。だが小さな努力も集まれば大きな力に成り得るはずだ!西川きよしではないが「ちいさな事からコツコツと」頑張ろうと、俺も襟を正したよ。そしてゴア先生が提唱する地球温暖化防止策は以下のもの。


ten things to do
私に出来る10の事

Change a light
省エネルギー型の電化製品や電球に交換しましょう

Turn off engine
停車中はエンジンを切り、エコ・ドライブしましょう

Recycle more
リサイクル製品を積極的に利用しましょう

Check your tires
タイヤの空気圧をチェックしましょう。車の燃費を良くすれば無駄なエネルギー消費を防げます

Use Iess water
こまめに蛇口を閉めましょう。水道の送水に利用されるエネルギーを削減することが出来ます

Avoid products with a lot of packaging
過剰包装やレジ袋を断りましょう。買い物は、リサイクル・エコ・バッグを使いましょう

Adjust your thermostat
エアコンの設定温度を変えて冷暖房のエネルギー削減をしましょう

Piant a tree
たくさんの木を植えましょう。1本の木は、その生育中に1t以上の二酸化炭素を吸収することが出来ます

Be a part of the solution
環境危機についてもっと学びましょう。そして学んだ知識を行動に移しましょう。子供達は「地球を壊さないで」と両親に言いましょう

Encourage your friends to see An Inconvenient Truth
映画『不都合な真実』を観て地球の危機について知り、友に勧めましょう


 というもの。あと“なるべく公共移動手段を用いて自家用車の使用を減らそう”ってのも劇中で語られていた。俺は乗物免許は5種以上持っているが車の運転は嫌いだしバイクは売っちゃったので移動は専ら電車だからこれはクリアしている♪その他どれも身近で実現可能なものばかりなので頑張ろうと思う。まあ9番目とかはたぶんこの映画は子供が観てないから無理だと思うし、10番目はネタか宣伝にしか思えないが、だがこの映画でからであろうとなかろうと、地球環境の危機について知ることは大事なことだ。

 この作品は映画館で観る必要も高い金を払う必要もない映画だが、現代人としては観ておくべき作品の一つだと思う。先の『ダーウィンの悪夢』同様にNHKかどこかでゴールデンタイムに特番で流すべき内容だろう。
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ハンニバル』シリーズで高い評価を得ているアカデミー賞俳優アンソニー・ホプキンスがこの度扮したのはえらい爺さまのオートバイ乗り。定年を越えても尚、世界最速に憧れ挑戦し続けるちょっと頑固で紳士で粋なライダーが、母国ニュージーランドからスピード大会が開催されるまでアメリカのユタ州までを旅するロードムービーだ♪怖くなくむしろ楽しいホプキンスの様子がなんだか観ていて微笑ましくっていい感じなのだ(^^)。
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■COLUMBIA PICTURES 127分
2005年 新西 米
製作総指揮:チャールズ・ハナー
製作・監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン
主演:アンソニー・ホプキンス、クリストファー・ロウフォード、アーロン・マーフィ、クリス・ウィリアムズ

★★★★

 序盤のあらすじ
  1962年ニュージーランド南端の町インバカーギル。小さな家に独りで暮らしている63歳の老人バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は、40年以上も前のバイク<1920年型インディアン・スカウト>を自ら改造し、ひたすら速く走ることに人生を捧げてきた。数々の国内最速記録を打ち立てた彼の夢は、ライダーの聖地であるアメリカはユタ州にあるボンヌヴィル塩平原で世界最速記録に挑戦すること。
 肉体的に衰えを痛感しまた狭心症も発症してしまったバートは、挑戦を先延ばしにはできないと悟り、遂にボンヌヴィル行きを決心する。だが年金だけが唯一の収入である彼には地球の裏側まで行く金が足りない。そこで彼は家を抵当に入れて金を作り、バイク仲間達の協力も得てどうにか渡航費を捻出すると、貨物船にコックとして乗り込み海路でアメリカを目指すのだったが…。

 感想
 ホプキンスが演じたバートはもう草臥れた爺ちゃんなんだけど妙に格好良く見えるのよ♪体は内も外もガタが来てるけど気力は満タンって感じでさ!性的な意味でもな(笑)。欧米人は歳喰ってもきちんと性的情熱を維持しているところが凄いというか偉いというか。俺があの歳になったら多分やらないんじゃないかと思ってちょっと尊敬したり。まあとにかく、やっぱり何かに情熱を傾けている男は幾つになっても輝いて見えるものなのかね、いいねえ~。
 また爺ちゃんの口から出る台詞に味があって格好イイのよ。「“危険”が人生に味をつける リスクを恐れてはいかん それが生きるってことだ」とか「こういうマシンでスピードに挑む時は、5分が一生に勝る 一生よりも充実した5分間だ」とか人生の年輪と男の生き様を感じさせてくれる名台詞が満載なのだ。

 そんな彼だからこそご近所の皆様も、普段は「騒音がうるさい」と文句を言いつつ応援しちゃうんだろうな。隣家なんか一番迷惑を被っているのに「向こうに着いたらコレクトコールで電話を掛けてきなさい」と凄く心配していたし(^^)。彼に勝負を挑んできた暴走族っぽいライダー達なんか連れだって見送りにきてカンパまでしてくれて、泣かせるじゃねえか!まあ彼らが突っかかって来たのも憧憬からの事だったんだろうけどな。バイク乗りは今も昔も素直じゃねえなあ。

 一路ボンヌヴィルを目指して一人旅に出たバート。初めて降りたったアメリカの大地でも、かなりマイペースで事を運ぶバート爺ちゃんの異国の地でのその無防備な姿は、観ているこっちはハラハラしっぱなしだ。まるで『はじめてのおつかい』を観ているような気分だったよ。だって爺ちゃん体も悪いしアメリカは物騒だし心配になっちゃうじゃん!ってこんな余計な緊張感を味わっていたのは俺だけなんだろうか?

 だが運良くなのか、それとも彼の生来の人柄の良さがそうさせるのか、彼が会う人逢う人みんなが親切な人たちばかりで観ていて思わず嬉しくなってしまう♪思いやりって大切だね素晴らしいね!

 この物語は実在した人物バート・マンロー(1899-1978)の話を元にして作られている。もちろん彼本人がこんな心温まる珍道中を進んだのかどうかは分からない。だがあの様に高齢でありながらやんちゃな旅と無茶なトライアルに挑んだ事は紛れもない事実だろう。いや本当に恐れ入る。

 ホプキンスはこの格好いい凄い爺ちゃんを、何だかとても自然に演じていたと思う。彼の地に近いのか、またはアカデミー俳優の貫禄なのか、まあバート本人を見た事がないので確かな事は判らんが、とにかく見事なまでに完璧なバートっ振りだったと思う。
 彼は「ずっと変質者や神経質な人間を演じてるのにうんざりしていたからね。僕自身はハッピーな人間だから、バート・マンローの人生哲学や性格はボクの気性によく合ってるんだ」と言っているので、『ハンニバル』よりこっちが地に近いようだ。また彼を起用した監督のセンスそのものが素晴らしかったと思う。

 監督・製作・脚本を一人で頑張ったロジャー・ドナルドソンは1971年にバート・マンロー本人に会った時から映画化を決めていた。だがなかなか資金が貯まらなかった。何度か資金提供の話はあったが、もっと“売れる”脚本に書き直すことが条件だったのでそれを断ってきたそうな。格好良いな監督!その彼の信念のお陰で、この一切妥協のない素晴らしい映画が作られたのだ。以下ネタバレ故反転表示↓

 どうにかこうにかボンヌヴィルの塩平原まで辿り着いたバート。いやもう本当にホッとしたよ。なにしろ途中で失敗する要素満載だったからね。
 だが安心も束の間だ。なんと爺ちゃん大会にエントリーしていないことが発覚!だが現地にはやたらに親切な人達が大勢いて爺ちゃんをフォローしてくれたりバックアップを買って出てくれたり♪初めは頑なに彼の出場を断ってきた運営委員も次第に情に絆されて、お陰で爺ちゃんは無事に大会に出場できることになったのだ♪良かったな爺ちゃん、あんた本当に人に恵まれてるよ。てか周りの人たちが老人介護のボランティアに見えてきたよ。

 薄々そうじゃないかと思ってたんだが、やっぱりインディアン号はめちゃめちゃ古かった。昔の映画だからかなあとも考えてたのだが、他の参加者の車体はもっともっと近代的で美しいフォルムをしていて俺がビビった。だが当の爺ちゃんは、最新型がなにするものぞと殆ど自作に近い、自身と同様にボロいマシンで遂に発進したのだ!
 数十年間を費やした夢がようやく叶ったその胸中はいかばかりか。多分超スピードと空気の壁との戦いに必死で感想なんてなかったに違いない。そして皆の声援を浴びながら激走した はあの旧型のインディアン号で夢の世界最高速度を記録したのだ!凄えや爺ちゃん!おめでとう!
 記録を出し切って転けた時、そして何とかマシンから這いだして天を仰いだ時、もうあのまま死んじゃうんじゃないかと思ったが老兵は死にも消えもしなかった(笑)。しぶといな爺ちゃん嬉しいよ♪


 本作はバイク乗りの爺ちゃんが主役のちょっと変わった、そしてちょっとだけ燃えるロードムービーだ。俺も久々にバイクに乗りたくなったけど、もう売っちゃったしな。レンタカー屋ってバイク貸出してるのかなあ。それはともかく、一度はバイクに跨った事のある男なら観たら楽しめること間違いなし!もちろん二輪車未経験の方にもお薦めです。
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日本のコミックが遂に中国で映画化!しかも『墨攻』なんて地味なタイトルを(^^)。でも面白い漫画だからね、監督の判断は間違ってないよ!
 原作となったのはコミック版『墨攻』で、これは酒見賢一の同名小説を原作に作画を森秀樹・脚本を久保田千太郎が担当して漫画化したもの。俺は小説は未読だがコミック版は読んでいる。小説は中島敦記念賞、漫画は小学館漫画賞に輝いたほどの優良作なのだが、主人公がオッサンで、且つ画が端臭くて舞台が華やかなわけでもないのでいまいちメジャーに成りきれなかった不遇の名作だったりする。

 これは日本の漫画だけれども紀元前の中国を舞台とした物語だし、内容も頗る良いので中国でも翻訳されジェイコブ・チャン監督が甚く気に入り、これの映画を企画し実現したのが本作だ。中国の話なので日本人の監督が作るよりはよほど正しい在り方だったのではないかとも思う。
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■ 133分 
2006年 中 日 香 韓
製作総指揮:ワン・チョンジュン
製作・監督・脚本:ジェィコブ・チャン
主演:アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ファン・ビンビン、チェ・シウォン

★★

 序盤のあらすじ
 紀元前370年頃の中国大陸は7つの国が乱立した戦国時代であった。燕と趙の国境に位置する粱城は、燕に攻め入らんとする趙によって今まさに攻撃されようとしていた。10万の趙軍に対し梁城側は兵と全住民を合わせてもわずか4000人しかいない。頼みの綱は、墨子の思想の元に非攻と兼愛の精神を掲げ、守る事に特化した戦闘集団・墨家に依頼した援軍だけだった。だがそれも間に合いそうもなく、粱王(ワン・チーウェン)は降伏を決断する。
 しかしそこに墨家の革離(アンディ・ラウ)がたった1人で現れて、城を守り抜く事を宣言する。粱王から全軍の指揮権を委譲されはしたものの、彼に懐疑的な兵も多く、また民の信頼を得るには時間が必要となる。だが敵は目前におり猶予も少ない。そんな過酷な条件の中で、革離の孤独な戦いが始まった…。

 感想
原作の革離はハゲでヒゲの全く格好良くないというか、むしろダサくて不格好なオッサン。だがこの映画版ではアンディ・ラウが演じているのでやたらと爽やかオーラの漂う青年に成り果ててしまった。画的には見やすくて嬉しいのだが、ラウ版革離からは墨家としての貫禄がちょっと足りないような感じだったな。


ちなみに墨家の思想は墨子(墨翟)の教えそのものであり、概略は

墨家十論

 兼愛 -自分を愛するように他人を愛せ-
 非攻 -侵略と併合は人類への犯罪-
 天志 -天帝は侵略と併合を禁ずる-
 明鬼 -鬼神は善人に味方して罪人を罰する-
 尚賢 -能力主義で人材を登用せよ-
 尚同 -指導者に従って価値基準を統一せよ-
 節用 -贅沢を止めて国家財政を再建せよ-
 節葬 -贅沢な葬儀を止め富を蓄えよ-
 非楽 -音楽に溺れず勤労と節約に励め-
 非命 -宿命論を信ぜず勤勉に労働せよ-

というもの。当時は世間を儒教と二分したほどに隆盛を誇った思想であり集団だったのだが、秦の中国統一と同時期にその存在が忽然と消えてしまった謎の集団でもある。俺は儒教よりはこっちの方が好きだな。


 物語も原作とはかなり違う。趙の巷淹中(アン・ソンギ)が梁城を守る革離と戦うって骨子以外は殆ど別物と言ってもいい。だが墨家の資料も殆ど残っておらず、また革離が実在したという物証もあるわけではないので、その辺りは制作側が好きに作れば良いとは思う。しかしどちらが面白いかと言えば原作の方だ。
 映画は尺が限られているとはいえ、本作は魅せ方が上手くなかった。革離の思想や知略の描き方が中途半端で、彼の活躍があまり引き立って見えなかったのは頂けない。革離の存在感と活躍を魅せてこその『墨攻』だろうに。

 また『墨攻』にはおおよそ必要とは思えない恋バナを挟んだのも余計だ。そんなものに時間を割く余裕があるならもっと革離の知略シーンを作るべきだ。
 まあヒロインの逸悦を演じたファン・ビンビンは結構可愛いかったのだが、はっきりいって彼女の存在は異様なまでに浮いていたので、個人的趣向を抜きにしても彼女の存在はシナリオ的に余計だったと思わざるを得ない。

 まあ悪い部分ばかりではなく映画オリジナルで良い場面もいっぱいあった。梁適(チェ・シウォン)の在り方などは映画版の方が格好良いし。だが物語の全体的なバランスは、どこに焦点が合っているんだか判らないようなチグハグなものになってしまっていて、ちょっと良くなかったかな。
 墨家の兼愛思想を掲げながら守るためには殺さざるを得ない現実に苦悩する革離の姿はそこそこ伝わってきたが、やはり一味足りない感じだった。

 監督は勿論だがアンディ・ラウも原作読者にして大ファンだそうな。彼も『墨攻』の映画化を考えたが、その時はもう既にジェイコブ・チャン監督が映画化権を取得した後だったとか。日本の作品が異国の人達に気に入られて映画化されるってのは、ただの観客の俺でも何となく嬉しいものだ♪そんな大ファン達の手によってかなり力を入れて作られた本作は、原作を元にしているだけではなく、かなり歴史的な勉強を加えてリアリティに拘っている辺りには恐れ入る。だが物語的にはちょーっと力みすぎだったみたい。
 でもそんな中でもアンディ・ラウは革離を熱演。悩み苦しみながら戦う革離を格好良く演じていた。てか格好良すぎ(笑)。彼は原作通りにスキンヘッドにするつもり満々だったが、監督から止められたらしい。スキンのアンディも見てみたかったがなあ。何故止めたんだ監督?以下ネタバレ故反転表示↓

 あんな惨くて切ない殺し方をするなら逸悦なんて登場させるなよ!可哀想じゃんか。同じ死なすにしてももう少しやり方ってものがあるだろうに…。

 俺は原作読者のため比較視点でしか本作を観れないのだが、まあ出来は普通くらいだと思う。ちょっと詰め込みすぎで纏まっていない感じがするが、歴史エンターテイメント作品としてはそこそこ面白い作品に仕上がっていると思う。
 本作は原作の前部分3割程度を映画化したもの。その後には小説にもないコミック版オリジナルな物語が展開して実に面白いことになっているので興味を持った方は是非ご一読をお薦めする。野暮ったい絵柄だが、間違いなく面白いから!
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シコふんじゃった』『Shall we ダンス?』で大人気大好評を得た周防正行監督の11年振りの新作は、裁判モノの『それでもボクは、やってない。』だ。しかも題材は聞くだけでも恐ろしい痴漢冤罪について。この異色の社会派映画は、周防監督が新聞で置換冤罪の記事を目にして興味を持ち、取材を続けるうちに現在の刑事裁判制度に疑問を抱いた事が作品作りの出発点だという。そして「“撮らないわけにはいかない”という使命感を持って作った初めての映画です。」とも。
 俺は題材が題材なだけに今までよりも更に地味な映画になるだろうと思い、特に何かを期待するでもなく観に行ったのだが、その監督の意気込みを痛いほど味わわされる事になった。
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■東宝 143分
2007年 日本
製作総指揮:桝井省志
製作:亀山千広
監督・脚本:周防正行
主演:加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ

★★★★

 序盤のあらすじ
 就職活動中のフリーター金子徹平(加瀬亮)は、会社の面接に向かう満員電車の中で女子中学生から痴漢行為に間違えられてしまう。話せば解ってくれると思い駅事務室と向かった徹平だが、そこでは何の解決もなくそのまま警察へと引き渡されてしまう。
 警察署で無実を主張する徹平だが、刑事は全く信じず執拗に自白を強要し出鱈目な調書を書き付けるだけ。話し合いを諦めて帰ろうとした徹平、だがその時彼の手に手錠がはめられた、「お前は被害者に現行犯逮捕されたんだ」と。留置所に勾留され、焦燥感と孤独感に苛まれながら検事の取調べを待つ徹平。だが検事さえも彼の話を全く信用せず、彼を犯人と決め付け、そして徹平の主張は一切無視されたまま、彼は起訴されてしまう。具体的な証拠もないまま、徹平と原告の少女は法廷で全面的に争うことになるのだが…。

 感想
 予想通りパッと見は地味な映画だ。舞台は殆ど裁判所と警察署の中だけだし、扱いは一応刑事事件ではあるが人が死んだり殺されたりの大事件ではないし。だが、あんなに地味な内容であるにも関わらず、あれほど先が気になった映画は珍しい。ふと気が付くと俺は何時の間にか固く手を組み合わせて前のめりになって真剣にスクリーンを凝視していた。鑑賞中に前のめりなんて本当に久しく無かった事で、その事に気付いた時は自分自身でかなり驚いた。
 それだけこの映画が優れた作品なのかと言えば、俺にはそれは解らない。何しろ地味な作風だし、山場もあるんだかないんだかよく分からなく、物語と公判は淡々と続いていく。だが体が前へと傾く位に反応していたということは、それだけこの映画には人をスクリーンに惹き付けるだけの何かがあったということなのだろう、少なくとも俺にとってはそうだった。体は正直だもんな。

 だが本作はなんと言っても題材勝ちだと思う。電車に乗る男なら一度は恐れる痴漢冤罪、それを生々しくテンポよく描いているのだから、そりゃスクリーンに釘付けになるってものさ。いつ自分の身に振り掛かるとも知れない恐怖である痴漢冤罪、その犠牲者となってしまった徹平を飾らずに生々しく描く事によって、観客に冤罪被害者の悲劇を追体験させた構成は見事だった。もう観ているこっちが気が気ではなくなってしまい、ある意味では金を掛けたホラー映画よりも余程怖ろしい内容だったと思う。正直、シンクロ率が高過ぎてかなり怖い思いをしたよ(>_<)。

 内容構成は飾らずに黙々と公判を追っているのだが、そんな中でも映画全体が暗くてジメジメしたものになる事は無かった。シビアで辛い内容であるにも関わらず、きちんとエンターテイメント性を有していてすんなりと観ていられるのは大した作りだと感心する。これは正しく周防監督の手腕だろう。まあ時折説明的に過ぎる部分もあったりしたが流れ的には自然であったし、誰にでも分かり易く作ってあるあたりも良く出来ていると思う。

 役者陣の演技も素晴らしかったんだろうけど、話に夢中になりすぎて実はよく分からない。ただ、それだけ夢中になれる程に、皆の演技が自然であったのだと思う。あれだけ惹き付けられたって事は主演の加瀬亮の演技を始め、役者陣の演技は皆迫真のモノだったんじゃないかと考える。加瀬はオーディションの時にドアを開けて入った瞬間に「あ、徹平だ」と周防監督が思ったほどの逸材で適材らしい。
 瀬戸朝香は『デスノート』の時には映画の雰囲気を壊す不味い演技で幻滅させてくれたのだが今回は至極真っ当に演じてくれたので良かった。役所広司は流石の貫禄と落ち着きで、出番は少ないながら物語を要所要所で引き締めてくれた。誰一人浮くこともハズれることもなく自然な調和が取れていて、それは本来は映画としては当たり前の事なんだろうけど嬉しかったな。

 ここからがホントの感想
 電車に乗る男なら一度は恐れた事がある痴漢冤罪。もちろん俺も超怖い!特に俺は京浜急行電鉄なんて劇込満員電車で通勤する身の上だから尚更だ。京急の混み様は半端じゃないぞ!鞄から手を離しても床に落ちないんだから!またそんな中でも(そんな中だからこそなのか?)痴漢は多いようで、女性の間では№1要警戒路線とされているとかいないとか。だから俺も乗る時は要警戒!可能な限り端に陣取って人に触らず、触りそうなときは鞄を縦にしてガードを固めるようにしている。

 報道番組でも偶に痴漢冤罪について特集を組んだりしているので、気が付くとつい見入ってしまう。法学部卒だからか今でもそれなりに法的知識の摂取は行いたいのかもしれないし、やはり身近な恐怖についての知識は仕入れていて損はないしね。
 劇中でも再三語られているように、たとえ本当はやっていなくても痴漢に間違えられたらまず有罪は確定だ。ただの勘違いであっても一度捕まったら99%有罪だ。そんな理不尽な、と言いたくもなるがこの件に関してはその理不尽はまかり通る。理屈は通らない、考えるだけ無駄だ、相手は理不尽なんだから。
 やったという証拠はない。だがやってない証拠もない。そうなれば後は裁判官の心象しだいだ。目の前には辛そうに泣きながら証言する女の子と、無罪をうそぶくなんだか怪しそうに見えなくもない男、このどちらかの意を汲まなければならないとしたら、普通の人間であれば泣いている女の子に味方をするだろう。これは、そういう恐ろしくも悲しい話なのだ。俺が裁判官ならまず男の味方なんてしないしな。

 そんなこんなで勘違いでもほぼ有罪な痴漢冤罪。逃れる一番イイ方法は、勘違いされた瞬間に全速力で逃げる事だ!最低最悪な方法だがこれはマジだ!勇気を振り絞って訴えの声を上げた被害者には悪いが、痴漢は現行犯以外ではまず捕まらない。故に自分がやっていないのなら、心の中で被害者の勇気に謝りつつ、真犯人を呪いつつ、ダッシュで姿を眩ます以外に方法はない。話せば分かってくれる、とかは痴漢冤罪には有り得ない。それはこの映画の通りだ。本作の徹平のように「真実を訴えたい」と言う気持ちは解る。だってやってないんだもんな。相手が間違えてるだけだもんな。でもこの国は被害者が発生した以上は、何が何でも犯人をでっち上げなくては気が済まない気質なのだ。真犯人が現れでもしない限りは彼の有罪は揺るがない、そういう仕組みになってしまっているのだ。徹平は「裁判所は真実を明らかにする所」と考えている(いた)事も理解できる。でも裁判所だって人が運営している機関でしかない。人は間違うし心は揺れるし、見えないし証拠がない出来事に迫るには推察に頼るしかないのだ。真実が100%明らかになるなんてのは幻想でしかないのだ。

 徹平の行為は倫理的には絶対に正しい。間違えているのは被害者の女の子であり、検察側であり、裁判官なのだから。だが彼の行動は身を結ばない。例え勝っても得るものはない、「ああ、勘違いだったよ悪かったね」ってだけなのだから。彼の勝利によって体制が変わることもないし、勝った時であってもそれまでに彼が失うものの方が大きすぎる。そして負けたら全てを失うのだ。もうリスクしかない戦いなのである。まあこの絶対矛盾だが鉄壁のシステムこそが痴漢の抑止力となっている面もあるのだろうが、間違われた方はこんな恐怖のシステムに巻き込まれたらたまったもんじゃない。だから、捕まる前に逃げるか捕まったら示談が事を早急に済ます一番の手段だと俺は考えている。もちろんやってないのに逃げたり謝ったり金を払ったりするのは、おかしいし間違っている。だが一時のプライドを守るために、徹平が経験したあの悲劇やもしくはそれ以上の災難に巻き込まれるというのであれば、俺ならそんなプライドは犬にでも喰わせる。

 徹平はたまたまフリーだったから何のしがらみもなかったからあの程度の騒ぎで済んでいるが、これが会社員や管理職や接客系自営業だったとしたらもっともっと大変なことになる。会社はクビ、もしくは降格されるかもしれないし、自営業などは事件の噂が広まればお客が来なくなってしまうかもしれないし、何より拘束されていたら働けない。とてもじゃないが真実を裁判で争っている余裕なんて現代人には有りはしないのだ。示談で済むなら済ましてしまおうと考えさせるだけの土台がここにもあるのだ。捕まってしまったら男は泣き寝入りするしかないのである。

 徹平の行動は本当に正しい。だが俺は我が身が可愛いし、小さな真実の実現よりは悔しさを飲み込んで逃げる事を選択する。間違っているのは俺だ。だが俺は徹平ほど強くはないし、国の出鱈目なシステムに自分の精神と時間が擦り減らされるのは御免だ。それに家宅捜索なんてされたら俺なんて超有罪だよ!PCの中に入っている数ギガ分の○○な画像だけで数年食らい込むくらいに有罪だぞ!

 本作において悲しいことは、刑事も検事も裁判官も、別に悪意があって撤兵を有罪にしようとしているのではないということだろう。皆それぞれが信じる正義の為に職務を全うしているに過ぎない、だがそれが悲劇を生んでしまう事がある、そして実はそういう事がたくさん起こっているというのが怖いところだと思う。
だがなによりも一番問題であり悪いのは犯人である痴漢だ!痴漢なんかするなよ!!

 俺は男だから男の視点でしか本作を見る事しかない。だが被害者たる女性が観たら、全く違う感想を抱くんだろうな。以下ネタバレ故反転表示↓

 えーー!?有罪ーーー!?あの再現ビデオと証言の女性も、なんの効力も無かったっていうのかよ!?酷いぞ裁判官!めちゃくちゃ悪意を感じるが、まあ実際そんなもんなんだろうな。

 本作は男なら身の毛も弥立つほどに恐ろしい、今そこにある恐怖と問題を描き抜いた衝撃の裁判映画だ。電車に乗る男性は一度は観てみる事をお薦めする。これを観たあとは怖くて電車に乗れなくなるかも。またいずれ施行される裁判員制度の前に、法的意識を高めるためにもいいかもしれない。
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レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシが三度手を組んだこの冬一番話題のクライム・サスペンスの大作がこの『ディパーテッド』だ。アカデミー賞にも作品賞・監督賞・脚色賞・編集賞・助演男優賞でノミネートされている話題作でもある。
 実は本作は大ヒット香港映画『インファナル・アフェア』のリメイクって事を俺は見終わるまで知らなかった。まあ共通部分は“潜入捜査をする二人”って部分だけらしいが、原作を観てないのでどうだか判らない。
 題材が題材名だけに最初っから最後まで薄氷を踏むような極限の緊張感が続き、観客の神経をすら削っていくその作りは見事だった!だがスコセッシ監督は「本当は撮りたくなかった」と言う。その理由は最後まで観て考えればそれなりに解ってくる。
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■Warner Bros 152分
2006年 米
製作総指揮:ロイ・リー
製作:マーティン・スコセッシ・ブラッド・ピット
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウィリアム・モナハン
主演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーティン・シーン、ヴェラ・ファーミガ
★★★★

 序盤のあらすじ
 マサチューセッツ州ボストン南部。警察はこの街に蔓延る犯罪を撲滅すべく最大勢力を有するマフィアのボス、フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)の組織に、新人警官のビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)を潜入させる。彼は犯罪者家系の出自だったのでこの役には打って付けだったのだ。彼の潜入捜査のことは直属の上司クイーナン警部(マーティン・シーン)とディグナム巡査部長(マーク・ウィールバーグ)しか知らない、危険な任務だ。
 一方コステロは幼い頃から彼の腹心として育ててきたコリン・サリバン(マット・デイモン)を新人警官として送り込んで警察の内情をスパイさせていた。故にあらゆる捜査は筒抜けになっていた。
 互い素性を隠して潜入生活を続けるビリーとコリンだったが、やがて警察もマフィアも内部にスパイがいる事に勘付き始める。なんとかスパイを燻り出そうと画策する両組織の為に、二人は窮地に追い込まれ…。


 感想
やはり潜入モノに付き纏うあのスリルと緊張感は堪らないものがあるね♪しかも本作ではそれが二倍!マフィア側から警察へと、警察側からマフィアへと両方から潜入し、それを代わる代わる映しているのだから観る方の緊張は休まるところがない。喉がカラカラになる程の激しい緊迫感を味わうことが出来たのは嬉しいかった。まぁ内容が内容なだけに楽しい映画じゃないけどね。

 脚本構成も巧みで、二人の主人公を交互に追うことでハラハラ感を持続させきったのは見事だった。素性がバレたら即殺される潜入者二人が味わう極限の緊張と恐怖が観客にダイレクトに伝わる作りはスコセッシ監督の手腕なのだろう。あの臨場感は凄かったなぁ。
 原作を観てないからどこまでがパクリでどこまでがオリジナルなのかは知らないが、とにかくよく練られた構成と脚本だったと思う。

 そしてマット・デイモンとレオナルド・ディカプリオもその脚本に応えてよい演技で魅せてくれたと思う。まぁ脇を固めるベテランや監督に支えられていた感は否めないが、それはキャリアの差だからなあ。
 俺としては久々にスクリーンで観たジャック・ニコルソンは流石の貫禄でマフィアのボスを演じていた。彼はどんな格好をしていようと悪のオーラが消えないところが凄い。
 バートレット大統領ことマーティン・シーンも出番こそ多くないが映画を引き締めるいい役所だった。優しい顔して超ハードな任務を新人にサラッと押しつけるあたりはシビアだね。でもきちんとフォローもするのが貴方のいいところだ。俺もコステロよりはクイーナンの部下になりたいね。
 マーク・ウォールバーグは少ない出番ながら格好いい仕事してんなあ、とか思っていたら助演男優賞でノミネートされているとは驚きだ。てっきりジャック・ニコルソンがノミネートされているもんだと思っていたよ。主演二人が掠りもしていないのは、まあキャリアの差が顕著に出てしまったからなんだろうなあ。結構いい演技ではあったと思うんだけどね。

 劇中でかかる曲も場面や作品にマッチしていて良かった♪まあそんなに大仰な曲は流してないんだが使い方が上手かったように思う。以下ネタバレ故反転表示↓

 あーー!お前らマーティン・シーン殺しやがってー!なんて事をー!と、まあこれは俺の感想だが。それにしても警察のボス級の人物をあんな簡単に殺してしまうなんてちょっとやり過ぎ且つ軽率じゃないマフィアの下っ端さんたち。だがとにかくビリーにしたら大事だ。彼の正体を知っているのはクイーナンとディグナムのたった二人だけ。ディグナムは嫌な奴で当てにならないのでクイーナンが唯一の拠り所であり、しかも自分が日常に戻る方法を握っている人物なのだから、彼に死なれたショックは大きかっただろう。もしかしたら永遠にマフィアとして生きていかなくてはならなくなるかも知れないんだから。

 そしてコステロが実はFBIに情報を流していたと知った時のコリンのショックも尋常じゃなかった筈だ。コリンは幼い頃からコステロに師事してきて、彼を助けになるようにと警察上部の内側に入り込むため努力して警察官になったのだから。あれはそんな彼の今までの人生を打ち砕くような真実だったに違いない。そりゃ撃っちゃうかな、撃っちゃうだろうなぁ。ま、あの手入れで組織もほぼ壊滅だったからコリンにはこのまま警察官として生きる道もあったからね。

 だがそうは問屋が卸さないのがこの映画のイイ所?だ。コリンの秘密を知ったビリーは彼を脅迫した!でもその要求は自分の身分を返せとの小さな、しかし切実なもの。コリンを呼び出し捕まえて、これで勝った!と思った後の展開は、もう驚いて開いた口がそのまま塞がらない程の驚愕の連続だった!えー!?撃たれちゃう!?撃っちゃう!?死んじゃう!?の連続!“ディパーテッド(死者)”とはよく出来たタイトルだよ、ビックリだよ本当に。もう悪魔の鼬ごっこだ、みんないい加減にしろよな。
 そして後には誰も何も残らないのがこの映画の怖い所。まあコステロの組織は壊滅させたしミサイル部品の流出は食い止めたけど、犠牲も大きかったなあ。あれって結局は人数で勝っていた警察側が勝ったってだけなんじゃ…。

 この何も残らない終わりでスコセッシ監督は、いま起こっているモラルの崩壊を描いているのだという。この作品そのものがモラルが無くなってしまった現代の社会を反映したものなのだそうな。そりゃ「撮りたくなかった」ともこぼす訳だ。

 ベテラン役者たちが死にきってしまった辺りで急に作品全体の緊張感がショボッと小さく萎んでしまったのは残念だったかな。若いディカプリオとマットの二人だけじゃまだ作品全体のレベルを維持するには至らないと解ってしまった不思議な瞬間だったね。ま、キャリアが違うから仕方のないことではあるけれど。
 

 リメイク作品とはいえかなり高レベルなクライム・サスペンス映画を観せてもらって嬉しかった。久しくなかった強烈な緊張感を味わえたよ。スリリングな気分に浸りたい人には絶対お薦めの超良作だ!
 リメイクでこれだけ面白かったってことは原作である『インファナル・アフェア』はもーっと面白いのだろうか?それともうま味を凝縮した本作の方が面白いんだろうか?あれは三部作と長い話だからいつか日本語吹替版で一気に観ようと思っていたのだが、どうしたものか。
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